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概要
概要
間仕切り壁下地(LGS壁下地)の構造についての紹介
ポイント要約

・間仕切壁下地に使用される構成部材についての説明
・特殊な仕様についての簡単な説明

  作成日:2020年10月06日(令和2年)
最終更新日:2024年12月03日(令和6年)

1.間仕切り壁とは

 建物の空間を区切るために設ける壁を間仕切り壁と呼びます。見た目や安全上の観点から柱や配線などを隠蔽する役割もあります。
 間仕切り壁は、上部は躯体や2重天井と、下部は躯体に固定し、固定する部分によって「壁勝ち」「天井勝ち」と呼称しています。
 ・壁勝ち :壁下地を先に作り、壁の上部を躯体で固定する(通常は壁勝ち)
   ⇒面材:天井レベルで止める場合、躯体まで貼り付ける場合があります。
 ・天井勝ち:天井(2重天井)を先に作り、壁の上部を天井に固定する(天井裏には壁下地・面材がありません)

 間仕切り壁には、耐火や遮音性能が求められ、様々な間仕切り壁が製品化されています。

2.間仕切り壁の主要部材

 ここでは、RC造やS造で使用される間仕切り壁用の軽量鉄骨下地(LGS下地)を、JIS規格や標準仕様書を例にご紹介します。なお、各仕様の最大高さは5mまでとなっており、5mを超える間仕切り壁(高壁たかかべの場合は特記によります。

※高壁を作る場合、中間梁(□-100×100)を高さ5m以内に設けてLGS下地が5m以下になる手法が一般的に取られていましたが、2010年代に下地メーカー各社が倉庫業法(2,500N/m2)に対応するなど独自工法(高壁工法)の開発を進め、今現在では、様々なメーカーにおいて、5m以上、最大7m・8m程度の壁を中間梁なしで施工できる製品が揃っています。この工法は内装工事業者で完結できるメリットがあります。

2-①ランナー

 「ランナー」は、間仕切り壁下地の上下に対で取り付けられ、スタッド(間柱)を垂直に立てるためのレールです。スタッドの規格・壁の仕様(遮音)により、ランナーの幅が定まります。JIS規格では板厚は0.8mmとなっています。
 ランナーの固定は打ち込みピンやコンクリート釘で行い、取付間隔は@900程度です。

2-②スタッド

 間仕切り壁下地に用いられる「スタッド」は、上下のランナーに差し込み垂直に立てる間柱です。JIS規格品は写真のようにコの字型断面をしていますが、角スタッド(非JIS)を用いる場合もあります。角スタッドの場合、スペーサーや振れ止めを取り付けないため工程数は少なくなりますが、スタッド同士の拘束はなくなります。
 コの字型スタッドには、振れ止め用の貫通孔が@1,200mmで空いているため、スタッドを所定の長さに切断する場合には、貫通孔のずれが生じないよう、下端をそろえ上端側を切断します。上下のランナー内寸より10mm程度短くします。
 切断後、立て込む前にスペーサーと呼ばれる金具を@600mm程度に留め付けます。スタッド用スペーサーを設けることで、スタッドのコの字断面の変形が抑制されます。また、振れ止めの拘束にも使用されます。
 スペーサーを仕込んだスタッドを上下のランナーに差し込み、90度回転させることで取り付けます。
 スタッドの間隔は、ボードの貼り付け条件でことなり、1枚張り@300、2枚張り@450mm程度です。

※鉄骨工事のスタッド溶接については、頭付きスタッド等で検索してください。

2-③振れ止めふれどめ

 間仕切り壁下地の「振れ止め」とは、コの字型スタッドを連結するための水平材です。スタッドに設けられた貫通孔にリップを上向きにして通し、スペーサーと呼ばれる金具で上から押さえつけることで固定します。
 公共建築工事標準仕様書では、「振れ止めは、床面から約1.2mごとに設ける」とされていますが、上部ランナーから400mm以内に位置する箇所は省略が可能です。
 JISでは、C-19・C-25の2種類の断面が記載されていますが、65形スタッド等でCD管などを下地内部に通す場合には、管の貫通孔を設けられる幅広のC-38を使用する場合もあります。

ランナー・スタッド・振れ止めのJIS規格は、次の表のとおりです。

サイズスタッドランナー振れ止め高さの
区分
記号寸法記号寸法記号寸法
50形WS-5050x45x0.8WR-5052x40x0.8WB-1919x10x1.22.7m以下
65形WS-6565x45x0.8WR-6567x40x0.8WB-2525x10x1.24m以下
75形WS-7575x45x0.8WR-7577x40x0.84m以下
90形WS-9090x45x0.8WR-9092x40x0.84.5m以下
100形WS-100100x45x0.8WR-100102x40x0.85m以下

2-④開口補強材かいこうほきょうざい

 間仕切り壁で区切った空間を行き来するには出入り口となる開口部が必要になります。また、空調ダクトを貫通させるためにも開口部が必要になります。開口部分には、吊り天井同様に補強が必要になります。

 出入口等の開口部の補強は、特記によらない限り、次の通りとします。

  1. 縦枠補強材は、上は梁、スラブ下に達し、上下とも、あと施工アンカー等で固定した取付用金物に取り付ける。
  2. 上下枠補強材(横材・水平材)は、縦枠補強材に、取付用金物を用いて、取り付ける。
  3. 開口部のために切断されたスタッドは、上下枠補強材にランナーを固定し、これに取り付ける。

 ダクト類の開口部の補強は、特記によらない限り、次の通りとします。

  1. 上下補強材は、スタッドに取付用金物を用いて取り付ける。
  2. 縦補強材は、上下補強材に取付用金物を用いて取り付ける。

 公共建築工事標準仕様書に記載の補強材は、次の表のとおりです。なお、スタッドの幅に対して補強材が小さくなっています。(例えば、65形に対しC-60を使用する。)
 民間工事では、スタッドと同じ幅の補強材を使用することもあります。(例えば、65形に対しC-65を使用する。)

サイズ出入口及びこれに準ずる
開口部の補強材(mm)
補強材取付け
用金物(mm)
高さの区分
50形高さ2.7m以下
65形C-60x30x10x2.3L-30x30x3高さ4m以下
90形C-75x45x15x2.3L-50x50x4高さ4mを超え4.5m以下
100形2 x C-75x45x15x2.3高さ4.5mを超え5m以下

3.間仕切り壁の特殊金具

 各部材に取り付ける特殊金具をご紹介します。

3-①ランナー用金具

 ランナーは、躯体の状況によって直接固定する事が難しい場合があります。その場合、金具などを用いて固定します。

デッキまたぎプレート

合成スラブにランナーが直接固定できない場合に使用する金具です。デッキとランナーの隙間処理については、別途ご検討ください。

 鉄骨梁の下にランナーを設ける場合に使用する金具です。鉄骨梁とランナーの隙間処理については、別途ご検討ください。次の特長があります。

  1. 鉄骨への溶接ピースの取付けが不要(省力化)
  2. ピースとなるC形鋼を、無溶接で先行取り付けできる(内装工事業者で完結できる)

3-②スタッド用金具

スペーサー

スタッド用スペーサー

 JISスタッドなど、コの字型のスタッドを使用する場合には必須の金具です。@600間隔で固定します。画像のように振れ止め材(@1,200)を固定する役割もあります。
 JISスタッドはJIS規格品ですが、各メーカーでリップの巻き込みのディテールは異なります(参考)。

万能ブラケット

 スタッドに合板を固定するための金具です。合板は、エアコンなどの壁付け機器を固定するために設けられます。
 合板(板厚12mm)がスタッド面と揃うため、ボードが膨らみません。金具自体も板厚0.6mmのため、ふくらみを最小限に抑えてくれます。また、金具を中央で分割できるため、金具一つで左右の固定に利用できます。

 間仕切り壁下地に中空層を設けるための金具です。遮音性能が求められる壁で使用されています。金具をスタッドの両端に取り付け、ランナーに対して千鳥に配置することで、スタッドの両面に壁を張った場合でも下地内部に中空層が生まれ遮音効果が期待できます。
 ランナーのサイズ選定には注意が必要です。ランナーの幅は「スタッド + ランナースペーサー」※です。
 また、振れ止めが取り付けられず、高さ制限など従来よりも厳しくする必要があるため、独自で判断されず、各メーカーの仕様に従ってください
 ※65形スタッド+10mmランナースペーサーを使用する場合、内寸75mmのランナーが必要となる。

3-③振れ止め用金具

端部スペーサー

 振れ止め材端部は、スタッドとの係り代がわずかしかなく、固定が不十分になります。
 端部スペーサーは、壁端部のスタッドに振れ止めを安定して固定するための金具になります。

振れ止め用ジョイント

振れ止め材を連結するための金具です。定尺以上の長さの壁の場合に使用します。

3-④開口部用金具

 開口補強用金具・多目的取付ピース

 開口補強材を固定する際に使用する金具です。
 当社製品には2種類あります。
・開口補強用金具 :枠補強材となるC形鋼の上下の躯体への固定・横枠補強材の固定に主に使用されています。
・多目的取付ピース:枠補強材の固定に主に使用されています。

4.まとめ

 間仕切り壁下地の主要構成部材と特殊金具についてご紹介しました。ここでご紹介した内容はあくまでも一般的なものであり、角スタッドなど非JIS材を使用する場合や風圧などの特記項目がある場合には、設計図書などに従い、適切な部材をご使用ください。

参考図書:公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版,国土交通省
※2020/10/06時点の情報
※2024/12/03加筆・修正
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