
壁にランナーを固定する角スタ天井について
問い合わせ事例と防振ゴムによるたわみの説明
作成日:2024年12月24日(令和6年)
最終更新日:2024年12月26日(令和6年)
角スタッドを使用した天井は、下地メーカー各社がユニットシステムとして提供していますが、メーカー仕様と異なる方法で施工を行うと問題が生じる可能性があります。特に専門的な知識が不足している場合は十分ご注意ください。当社では、独自仕様による施工の可否判断は行っておりません。
本資料は複数の問い合わせ事例を基にした注意喚起を目的としており、当社製品(防振ハンガー・角スタクリップ)を使用した天井全体の仕様についてのお問い合わせには対応できかねます。
当社は角スタッドやC38などの定尺材の製造、および天井ユニット全体の販売は行っておりません。
角スタ天井について
角スタッド天井は、間仕切り壁の両端にランナーを固定し、角スタッドを差し込むことで施工する省力化工法です。主に廊下など幅の狭い部分で使用されます。天井幅が広い場合は、中間部がたわまないよう、躯体から吊りボルトで支えることがあります。
吊りボルトおよび野縁受けのピッチは下地メーカーがたわみ基準等に基づいて設定しており、在来天井の900ピッチ(壁端部から150mm)といった規定はありません。
防振ハンガーの使用に関する注意点
角スタッド天井に防振ハンガーを使用し防振天井とする場合、以下の点にご注意ください。
天井の垂れ下がりの要因
- 柔らかい防振ゴムは一定量つぶれる。
- 例えば、静的バネ定数66N/mmの防振ゴムに30kgを吊るした場合、天井が4.5mm下がる。
- 許容荷重を超えて使用しないこと!!許容荷重を守らず問い合わせいただいた例があります。
静的バネ定数 | 仕上材・吸音材の質量 | 仕上まで施工した時の 防振ゴムの変形量 |
---|---|---|
66N/mm | 20kg | 20*9.8/66≒3mm |
66N/mm | 30kg | 30*9.8/66≒4.5mm |
下地材と仕上げ材による影響
- 軽量な角スタッドを吊る段階では防振ゴムのつぶれは少ないが、仕上げ材を取り付けると重量増加により、ゴムがつぶれて天井全体が数mm下がる。
- 壁に固定したランナーの水平位置が変わらないため、天井中央部だけが垂れ下がる形状になりやすい(下図)。

むくりの効果について
- 在来天井では「むくり」と呼ばれる中央部を持ち上げる施工法が用いられるが、角スタッド防振天井では角スタッド・防振ゴムの影響で持ち上げ効果が減少する。
- 許容荷重を守らず超えた場合、実際に天井が壁端部より下がり、違和感を感じるという問い合わせ事例があった。
*むくり:中央部を基準高さに対し吊り上げる、具体的にはスパンに対し1/500~1/1000程度(4mで5mm程度)吊り上げる方法*1。目の錯覚で垂れ下がっているように見えてしまう事を防ぐ。
まとめ
角スタッド天井に防振金具を取り入れる際は、慎重に検討する必要があります。特に中央部が垂れ下がる現象は居室での違和感を生じさせる可能性があり、在来天井の施工法で用いられる「むくり」を取り入れたとしても十分な効果が得られるとは限りません。また、防振壁も検討する必要が生じます。
本内容に基づく施工で生じた問題について、当社は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。最終的な判断については、必ず監理者の指示を仰ぐようにしてください。
注意事項
標準仕様書やメーカー仕様と異なる施工を行う場合は、十分に検討し、監理者の最終判断を仰ぐようお願いいたします。
当社は角スタッドなど下地材の製造を行っておらず、天井全体の仕様についても定めていません。
本内容に関するお問い合わせをいただいても、当社では回答いたしかねますので、ご了承ください。
*1:建築工事標準仕様書・同解説 JASS26 内装工事